KDDIは7月29日、2005年3月期の第1四半期決算を発表した。携帯電話サービス「au」が業績を牽引し、売上高は前年同期比4.4%増の7201億円で304億円の増収だった。営業利益は、前年同期比5.3%増の896億円で45億円の増益である。

 一方で、ブロードバンド事業は相変わらず低調。営業利益は1000万円にとどまった。ブロードバンド事業について、KDDIの小野寺正代表取締役社長は、「現状では利益がほとんど出ていない。ここでてこ入れをしなければならない」と説明する(写真)。営業体制を強化するほか、FTTHサービスの「光プラス」について申し込みから開通までの期間を短縮する。光プラスは、3万5000回線が契約を済ませているものの、2万8000回線しか開通していないのが現状だ。

 小野寺社長は、法人向け営業部門の分社化について「再検討している」といったん白紙に戻したことを明かした。「法人といっても中小企業向けの営業は個人向けと大差ない。分社化はかえって非効率になるという議論もある。分社化により他の部署との連携が弱まり、営業力が低下することも懸念している」(小野寺社長)と説明。また「日本テレコムを買収したソフトバンクが、どのように事業を運営していくかを見極めたい」と、小野寺社長は警戒する。

 ツーカーセルラー東京、東海、ツーカーホン関西の3社を、12月末に100%子会社化することも発表した。「ツーカーの次のステップに向けて、KDDIのみの判断で様々な判断を下せるよう、身を軽くしたということ」と、小野寺社長は明かす。

 auについては、「今夏から第3世代移動通信サービスであるCDMA 1X WINを本格展開する。今年度末までに、エリア・カバレッジを全国の98%以上にする」と宣言。さらに1x WINの加入者の83%がパケット定額制サービスを利用していることを明かし、コンテンツを強化する方針を打ち出した。すでに発表済みの月額2100円で利用できる「ダブル定額」を8月1日に開始するほか、動画配信サービス「EZチャンネル」で無料コンテンツを日替わりで配信する。

(福田 崇男=日経コンピュータ)