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NTTデータの松田氏 「東京ガスのIP電話システムで初期障害がたびたび発生するという報道は間違い。IP電話機2万台の導入に向け、作業は順調に進んでいる」。同システムの構築を担当する、NTTデータの松田次博ネットワーク企画ビジネスユニット長はこう強調する(写真)。「すでに15の事業所と関連会社約120拠点で、3000台のIP電話機が1日あたり数万コールの通話を処理している」と松田氏は明かす。

 東京ガスがIP電話を全面的に導入し、約10億円の通信費を半分に削減するとの記事が、新聞紙面をにぎわしたのは2002年12月のこと。IPセントレックスを使った初の大規模導入事例として、話題をさらった。しかし今年6月になって、一部の新聞や雑誌が「同社での導入がうまくいっていない」と報道。東京ガスとNTTデータに、問い合わせが相次いだ。

 松田氏はこの件に関して、「当初予定していた今春に、全面導入が完了しなかったのは確かだ。しかし、それは一部で報道されたように技術的な問題によるものではない」と説明する。

 東京ガスは当初から、各拠点にあるPBX(構内交換機)のリース切れや組織改編のタイミングに合わせて、その都度スケジュールを立て、順次IP電話に切り替えるつもりだった。その上で、今春にIP電話の導入を完了しようと考えていた。

 ところが、東京ガスでは今年4月から5月にかけて想定以上に組織改編が相次ぎ、電話機を数千台移動させなければいけないケースも出てきた。導入作業のスケジュールがこの組織改編に影響を受けたことが、上記報道につながったようだ。ただ、同社は組織改編が一段落した拠点から順次IP電話を導入しており、「10月末までには、かなりの拠点に導入できる」と松田氏は太鼓判を押す。

 一部報道では、『NTTデータがIP電話システムの初期障害に悩まされている』とも書かれていた。これについて、松田氏は「最初の2拠点に導入する際に、一部で通話時のエコーが発生しただけ。大きなトラブルはなかった」と反論する。

福田 崇男=日経コンピュータ