国内でのICタグ普及を目指す新組織「EPC RFID FORUM」が7月26日に発足した。新組織は会費を無料とし、ICタグに関心を持つ企業を広く募って、実証実験や普及啓蒙活動を手がけていく予定だ。同日開催した初会合で、Auto-IDラボ・ジャパンの所長を務める慶応大学の村井純教授(写真)が講演し「実証実験の成果に基づいた強い提案を、日本から国際社会に投げ掛けよう」と呼びかけた。

 ICタグを巡っては、国際標準化団体のEPCグローバルが、世界各地のAuto-IDラボと協力して急ピッチで仕様策定を進めている。同団体に参加する企業は世界で191社を数える。しかし、このうち国内企業は全191社のうち15社にとどまり、日本は同団体での標準化活動に乗り遅れていた。背景には、EPCグローバルが厳しい知的財産権ポリシーを採用していることのほか、日本国内での普及啓蒙活動が手薄で企業側との接点が薄かったことがある。

 そこでAuto-IDラボ・ジャパン、EPCグローバルの日本側事務局を担当する流通システム開発センターだけでなく、電子商取引推進協議会(ECOM)が今回のEPC RFID FORUMの設立メンバーとして加わった。ECOMには200社以上の国内企業が参加しており、企業間取引の規格策定などで実績もある。EPCグローバルは強い味方を得て、ようやく国内で本格的な普及活動に乗り出す。

 さらに、EPC RFID FORUMは会費を無料とすることで入会への敷居を下げ「ICタグに関心を持っているがまだ事業化に踏み切れない」といった企業の参加を促す。設立メンバーである流通システム開発センターの坂井宏専務理事は「EPCの名が付いているが、EPCグローバルの規格を採用しない企業でも歓迎する」と話す。EPC RFID FORUMには、東京大学の坂村健教授が主導する、ユビキタスIDセンターの会員企業も参加できる。

 EPC RFID FORUMのWebサイトは近日開設予定。URLはhttp://www.epc-rfid-forum.jp/である。

 なお、EPCグローバルには、日本からIIJ、NEC、三洋電機、デンソーウェーブ、丸紅系のマイティカードの5社が最近加入した。それ以外の国内会員は、NTTや大日本印刷、三井物産など旧Auto-IDセンターからの移行組である。

(本間 純=日経コンピュータ)