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ベリタスソフトウェアの木村社長 「社長就任以来、このサービスを提供したいと考えていた。準備に1年以上かかったが、ようやく社内の体制が整った」。ストレージ管理ソフト・ベンダーであるベリタスソフトウェアの木村裕之社長(写真)は、同社が7月15日に提供を始めたシステムのディザスタ・リカバリ(災害対策)支援サービス「VERITAS DR コンサルティングサービス」に関して感慨深げに話す。昨年1月に同社社長に就任した木村氏は、ディザスタ・リカバリにかかわるシステム構築やソフト販売を主軸事業の一つに掲げてきた。

 DR コンサルティングサービスは、ディザスタ・リカバリ体制の立案から構築、運用、監査まで、ユーザー企業における一連の作業を支援するもの。具体的には、(1)災害が起きた場合に影響を受ける業務の種類とその影響度の分析に始まり、(2)業務継続計画の立案、(3)バックアップや復旧のためのシステム設計、構築、運用、(4)要員のトレーニング、(5)システムや運用体制の定期監査などを提供する。

 「ディザスタ・リカバリに関するシステム提案は、従来からやっている。だが、個々のソフトや技術の提供に目が行きがちで、システム全体、企業全体を見据えた提案はできていなかった」。木村社長は自戒を込めてこう話す。ディザスタ・リカバリや業務継続に関する同様のコンサルティング・サービスは、すでに多くのITベンダーが提供しているが、木村社長は「運用まで含めた業務全体を一元的に提供するサービスは少ない」と自信を見せる。

 ベリタスは同サービスの提供に併せて、ディザスタ・リカバリに精通した専門部隊「DRコンサルティングサービス推進室」を新設した。「この部隊が中心になって、システム単位のバックアップや復旧対策だけでなく、企業全体の業務継続を考えた一元的なサービスを提供する」(木村社長)。

 同推進室の要員は当面3人。「ベリタス単体ではまだ力が及ばない部分は多い」と、技術本部の足立修本部長は認める。そこで業務分析や運用、教育などのコンサルティングは、パートナー企業と共同で提供する。すでにコンサルティング会社のプロシードとベリングポイントが参加を表明。「さらに大手コンサルタント会社数社に声をかけている」(足立本部長)。コンサルティング会社と提携するのは、新たな顧客を開拓しようという狙いもある。

 DR コンサルティングサービスの料金は、「ユーザー企業の規模によって変わるが、ソフト製品の費用を含めて数百万~数千万円程度」(駒井孝康取締役エンタープライズ営業担当)。「サービスに伴うソフト売り上げを含めて、当社の総売上高を5%底上げする」(同)ことを狙う。

鈴木 孝知=日経コンピュータ