NTTドコモは7月13日、無線LANのクライアント機能を搭載したFOMA/無線LANデュアル端末「N900iL」(NEC製)を開発したことを明らかにした。携帯電話としては初の企業向け機種で、秋に発売する。無線LANを介してIP電話、iモード対応ブラウザ、インスタント・メッセージ(IM)を利用できる。もちろん、FOMA端末としても使える。IP-PBXやユーザーの状況を管理するプレゼンス・サーバーなどと合わせ、事業所内コードレス・システム「PASSAGE DUPLE」として販売する。構内PHSの後継である。端末1台当たりの価格は4万円台になる見通し。
N900iLは、FOMA端末のN900iをベースに無線LAN、VoIP、IMクライアントなどの機能を実装したもの。無線LANはIEEE802.11b準拠。無線LANの電波が届く範囲では、FOMAと無線LAN(IP電話)の両方で待ち受けられる(デュアル・モード)。内線電話を利用する場合は、相手の内線番号をプッシュするか、プレゼンス・サーバーにアクセスして相手の状況を確認し、相手を選んで接続する。プレゼンスを利用する場合は、相手の状況に合わせて内線電話、IM、FOMAを選択できる。
ブラウザでアクセスできるのはコンパクトHTMLで記述されたiモード用サイト。すでに携帯電話から社内システムにアクセスできる環境を用意している企業なら、社内では無線LAN経由で高速にアクセスできる。プロキシ・サーバーを介してインターネットに接続することも可能。ただし、パソコン向けのWebサイトについては、FOMA向けにコンテンツを変換する必要がある。メールやiアプリについては、無線LANでは利用できない。
また、無線LANを介したIP電話には課題が多い。一つは端末のバッテリ。無線LANは携帯電話に比べて消費電力が大きいため、携帯電話のように数日にわたって常時待ち受けることは難しい。そこで、N900iLでは802.11bの省電力モードを採用した。待ち受け状態とスリープ状態を定期的に繰り返すため、条件がよければFOMA/無線LANデュアル・モードでも最高150時間待ち受け可能になるという。
無線LANでの電波状況や、移動してアクセス・ポイントが切り替わったときの再接続にかかる時間も課題。導入に際しては、事前の調査(サイト・サーベイ)を実施して、アクセス・ポイントを適切に配置しなければならない。同時に、アクセス・ポイント切り替え時の再接続時間を短縮するために、無線LANスイッチが必要になる。
なお、同日、NECはN900iLとの連携機能を強化したIP-PBX(SIPサーバー)「UNIVERGE SV7000」、無線LANスイッチ製品の「同WLシリーズ」などを発表した。