「在庫管理などの業務アプリケーションや、経営幹部向けの経営情報システムが、携帯電話のFlashで動くようになる」。米マクロメディアで携帯電話向け事業のマーケティング戦略を担当するアヌープ・ムラーカ シニア・ディレクター(写真)はこう語る。

 マクロメディアは、Flashを業務クライアントなど操作性が高いアプリケーションの動作環境として普及させることを狙っている。Flash上で動作するアプリケーションを「リッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)」と称している。その戦略の一環として、6月28日、携帯電話向けのFlash動作環境の新版である「Flash Lite」バージョン1.1を発表した。

 企業情報システムの視点から見たバージョン1.1の目玉は、ネットワーク接続機能を増強した点。サーバー側で更新したデータをFlashアプリケーションで表示したり、逆にFlash側で入力したデータをサーバー側に送信する、といった処理の命令を追加した。「インタラクティブにサーバーとデータをやり取りできるようにすることで、これまで以上に携帯電話を使った業務システムが構築しやすくなる」(ムラーカ氏)。

 Flash Lite新版の登場に合わせて、KDDIは7月12日、「au」ブランドで展開する携帯電話にFlash Liteを搭載すると発表した。まず、7月下旬から発売する予定の3機種に搭載する。Flash Liteの採用は、NTTドコモに次いで2社目。

 ムラーカ氏は、「業務アプリケーションのクライアントにFlashを採用するメリットは大きい。その表現力はもちろんのこと、パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯電話といった異なるプラットフォームでも同じように動作する。今後もマクロメディアは一般コンシューマと同じく重要なターゲットである、ビジネス・ユーザーに向けた製品や機能を強化していく」と意気込む。

高下 義弘=日経コンピュータ