筐体は発売までに変更する予定

 トレンドマイクロは、金融機関のATM(現金自動預け払い機)などに向けたウイルス防御装置「MVPアプライアンス(仮称)」を開発した。Windows XP EmbeddedなどのOSを搭載したATMが増えていることに対応した。今年末から来年初頭に発売する予定である。7月9日まで東京ビッグサイトで開催中の第1回情報セキュリティEXPOに展示した。

 Windowsを搭載したATMがウイルスに感染した事例としては、昨年8月に米国で複数のATM機が「Nachi(Welchia)」に感染し、停止した例がある。普通、ATMが直接インターネット回線に接続されることはない。しかし、管理用パソコンを介して間接的に接続した社内LANや、メインテナンスの際に持ち込んだノート・パソコンからウイルスに感染する可能性がある。

 トレンドマイクロによると、Windows XP Embeddedのような組み込み用OSはセキュリティ・ホールの基になるバックグラウンド・プロセスが少ないが、OSの基本的な部分は一般のパソコンと変わらない。このため、自己増殖型の実行プログラムを持つウイルスに対するぜい弱性はパソコンと同等だという。

 MVPアプライアンスは、ATMとEthernetケーブルで接続する。ATMが送受信するパケットを常時監視し、さまざまなウイルスの特徴を記したファイル(署名ファイル)のパターンに一致するデータを検出した場合、管理者に警告のメールを自動送信する。管理者は、管理画面を使って感染した端末をネットワークから切り離すことができる。ATMなどの機器を同時に4台まで接続可能。価格は10万円以内を予定している。

(本間 純=日経コンピュータ)