ボーランドは7月6日、システム設計に用いるモデリング・ツールの新版「Borland Together Edition for Microsoft Visual Studio .NET 2.0」を出荷開始した。米マイクロソフトの.NETに対応した同製品は、旧版では生成できるコードがC#のみだったが、今回新たにVisual Basic .NETのコードも生成可能にした。

 同時に価格を大幅に下げ、1ユーザー当たり9万8000円から2万4000円と1/4以下に設定。この理由について同社マーケティング部の藤井等部長は、「モデリング・ツールの価格動向も影響したが、Visual Basicユーザーの用途を想定するとまだ適材適所。旧版のままでは割高感がある」と説明する。

 ただし機能面でC#とVisual Basic .NETでは差がある。いずれの言語でも基本機能として、クラス図などUML(統一モデリング言語)からコードを自動生成し、そのコードを変更すればクラス図などにも自動的に反映して同期を取る機能を備える(写真)。C#の場合は、コードのエラーを見つけ出す検査機能や、設計の変更を容易にするリファクタリング機能を備えるが、Visual Basic .NET用には備えない。これについて、藤井部長は「機能に差をつけたわけではなくVisual Basic .NETは新たに対応したものだから追いついていないだけ」と理由を述べた。

 今回の強化には、「いまはUMLモデリング・ツールの市場はJavaが席巻しているが、今後は.NETの需要が広がってくる」(藤井部長)という期待が込められている。現時点で同社はJavaと.NETの両方にツールを提供しているが、今後はプラットフォームに依存しないモデリング・ツールを提供する計画だ。オブジェクト指向技術の標準化団体である米OMGが推進するMDA(モデル駆動アーキテクチャ)に準じたBorland Togetherが年内に登場する見込みである。MDAが実現すれば、開発者はJavaか.NETかを考えないでアプリケーションを設計・開発できるようになる。

森側 真一=日経コンピュータ