ICタグ関連技術の研究機関、Auto-IDラボ・ジャパン(村井 純所長)は、千葉県の幕張メッセで7月2日まで開催中の展示会「NetWorld+Interop 2004 Tokyo」で、ICタグの実験を始めた。10万人以上の来場者バッジ全部に、ICタグを付ける大規模なもの。実験は展示会の主催者、メディアライブ・ジャパンと共同で実施する。

 ICタグは13.56MHzの名刺大のもので、展示会場への入場の際に専用ゲートで自動読み取りする。実験は読み取り精度の検証を目的の一つとしており、従来通り、来場者バッジに付いたバーコードを係員が読み取る方法も残した。会期終了後は両者の精度を比較し、8月をめどに実験報告書をまとめる。十分な読み取り精度が得られれば、1年後の展示会ではバーコードを廃止しICタグに一本化することも検討している。

 ICタグのコストは1枚100円弱で、10万枚配布すると1000万円程度の費用がかかる計算だ。来場者管理の自動化だけが目的ならコストに見合うかどうかは微妙だが、「展示会終了後にオンラインで資料を提供するなど、来場者と出展者を結び付けるツールに育てたい」(メディアライブ・ジャパンの大嶋康彰取締役)とする。将来は会場内で来場者の多い場所や少ない場所をリアルタイムに把握し、導線を分析するなどして運営の効率化に役立てる。

 今回の実験では、ICタグ・リーダーを設置した複数の展示ブースを巡るスタンプ・ラリーも実施した。すべてのブースを巡り、ICタグをリーダーにかざすとプレゼントが入手できる。なお、来場者バッジは経済産業省のプライバシー・ガイドラインに準拠しており、ICタグが入っていることを示す「IC@Card」のマークを印刷した。

本間 純=日経コンピュータ