「2年前、Trustworthy Computingというスローガンを掲げ、製品の品質や脆弱性を克服する取り組みを続けてきた。その結果、製品の品質は完全とはいえないものの大幅に改善している」。6月30日、「NetWorld+Interop 2004 Tokyo」の基調講演で、米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は、自社製品についてこう語った。

 バルマー氏は講演の中で、Windows 2000 ServerとWindows Server 2003を例に挙げて、それぞれの製品を出荷して1年間で、どれくらい主要な脆弱性が見つかったかを比較。Windows 2000は出荷後の1年間で、42件の脆弱性が検出されたが、Trustworthy Computingの取り組み開始後に開発したWindows Server 2003では13件。4分の1に減少したというデータを示した。「当社のソフトウエア開発者に対するセキュリティに関するトレーニングやTrustworthy Computingの開発プロセスの整備による効果が表れてきた」と説明する。

 セキュリティに関する取り組みについて、バルマー氏は今夏リリース予定の「Windows XP Service Pack 2」にも言及。「マーケティング面を考えると他によい名前があればよいのだが、Windows XPのセキュリティ機能をより強化できるものになっている」と語る。

 Windows XP Service Pack 2を適用すると、新たにWindows XPのコントロール・パネルに「セキュリティ・センター」と呼ぶアイコンが追加される。ファイアウォール、ウイルス対策、ソフトの自動更新といったセキュリティに関連する機能が有効になっているかどうかを確認しやすくなる。加えて、Webサイトの閲覧時にポップアップ画面の表示やActiveXコントロールのダウンロードを制限したり、メールの添付ファイルを開くときに、パソコン利用者に確認する機能を備える。このほか、ネットワークに接続するパソコンのファイアウォールの設定をActiveDirectoryと連動して集中管理する機能もある。

 「当社ではセキュリティは最優先の課題。今後1年から1年半かけて、ノート・パソコンが社内ネットワークにつながる前に、セキュリティ面で問題がないかを確認できるような機能を当社の製品に導入していく」と、バルマー氏は説明する。

西村 崇=日経コンピュータ