米投資会社のカーライル・グループは6月21日、KDDIの子会社でPHS事業を展開するDDIポケットの買収を正式発表した。買収金額は2200億円。買収後の出資比率は、米カーライルが60%、京セラが30%(買収前は13%)、KDDIが10%(同81%)となる。

 米カーライルの安達保マネージング・ディレクタ日本代表(写真左から2番目)は、「PHSは音質がよい、電磁波の影響が小さく病院内などでも利用できる、消費電力が少ない、基地局への投資が少なくて済むなどの特徴がある。よさを生かして、法人向けのモバイル・データ通信サービスに注力していく」と意気込みを語った。

 買収によって、DDIポケットは携帯電話事業に注力していたKDDIから独立する。これによって、PHS関連の新サービスへの投資を強化できる。DDIポケットの山下孟男社長(写真右端)は、「データ通信サービスは高速化する方向で検討している。もう一つの柱を何にするかは今後、相談する」という。DDIポケットの経営陣は買収後も変わらない予定。

 KDDIの小野寺正代表取締役社長(写真左端)は、「モバイル・データ通信は将来性のある市場で、リソースを投入すればさらに発展する。しかしKDDIのリソースでは限界があった。DDIポケットの最良のあり方を考えた結果だ」と、手放した理由を説明した。出資比率を引き上げた京セラは「PHSで高速通信ができる基地局設備や端末を積極的に開発していく」(西口泰夫代表取締役社長、写真右から2番目)という。

 DDIポケットは、定額制のデータ通信サービス「AirH"」などを提供するPHS事業者。ユーザー数は法人と個人を合わせて約300万人。過去3年連続で、黒字を達成している。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)