財団法人デジタルコンテンツ協会は6月18日、2003年度のデジタル・コンテンツ市場調査の結果を発表した。2003年度の市場規模は前年度比9.2%増の2兆1499億円で、1993年の調査開始以来、初めて2兆円台にのった。ただし、紙媒体やアナログ放送などのコンテンツ市場全体は前年度とほぼ同じ12兆7256億円にとどまっており、コンテンツのデジタル化は進んでいるものの市場全体を拡大するまでには至ってない実態が明らかになった。

 消費者への接触メディア別に見ると、CDやDVDなどを介して販売されるパッケージ市場が1兆4325億円(デジタル・コンテンツ市場全体の66.6%)と最も大きい。インターネット市場の3348億円(15.6%)、携帯電話市場の2350億円(10.9%)、デジタル放送市場の1476億円(6.9%)がこれに続く。市場成長率は携帯電話市場が前年度比33.7%増と最も大きく、着メロや着うたに代表される携帯ブームの背景がうかがえた。

 情報内容別に見ると、デジタル放送を含む映像系コンテンツが6707億円(前年度比31.4%増、デジタル・コンテンツ市場の31.2%)と最大。続いて音楽系6219億円(3.4%減、28.9%)、ゲーム系4403億円(0.3%増、20.5%)、ニュースやデータベース系4170億円(11.1%増、19.4%)だった。

 デジタル・コンテンツ市場は今後も拡大し、2004年度は12.7%増の2兆4237億円になると同協会は予測している。だが、「アナログがデジタルに変わるだけでは意味がない。コンテンツ産業全体を活性化させるためには、政策支援や技術開発支援が必要」と企画調査部の嶋本吉春研究主幹は警鐘を鳴らした。

目次 康男=日経コンピュータ