新潟県の第二地銀である大光銀行は、勘定系システムの刷新計画を全面的に見直す。NECが提供するオープン勘定系システム「BankingWeb21」の採用を取りやめ、日本ユニシスの製品を導入する。来月にも、正式に発表する見通し。大光銀行は「現時点でお話できることはない」(総合企画部)とコメントする。

 計画変更の理由は、NECと進めていたBankingWeb21の導入プロジェクトの遅れ。大光銀行は2002年6月にBankingWeb21の採用を発表した当初、稼働時期を2004年度中と予定していた。ところがNECがBankingWeb21の開発にてこずり、第1号ユーザーである八千代銀行(東京都)の稼働が2年遅れた。この遅れが、BankingWeb21の後続導入行に伝播した。

 BankingWeb21を採用した場合の稼働時期が現時点でも確定できないことから、大光銀行は「さらなる遅れは将来のシステム化計画や経営計画の策定にまで影響を及ぼす」と判断し、しびれを切らしてBankingWeb21の採用撤回を決めたと見られる。

 大光銀行は現在、東日本銀行(東京都)と共同で富士通の勘定系システムを利用している。東日本銀行は、大光銀行と同様にBankingWeb21の採用を決めており、「現時点で方針を見直す予定はない」(東日本銀行事務管理部)という。東日本銀行が抜けた共同システムを大光銀行が1行だけで維持していくのはコスト的に負担が大きい。

 そこで大光銀行は、遅れなく確実に移行できることを第一条件に、稼働実績があるシステムのなかから次期システムを選び直した。そこで目をつけたのが、日本ユニシスの勘定系システムである。日本ユニシスはメインフレームで動く勘定系システムでは実績があり、さらに同システムをWindowsで動かすプロジェクトを百五銀行(三重県)と共同で推進している最中だ。Windows勘定系は2007年5月の稼働見込みである。

 大光銀行はまず2006年度をメドに、現在の富士通製勘定系システムから日本ユニシスのメインフレームで動く勘定系システムへリプレースを実施。その後時機を見て、Windows勘定系に移行する。移行の手間は2度になるが、これ以上の計画変更を避けられ、さらにオープン勘定系への移行ルートも確保できる。ただし、ユニシスがWindows勘定系の開発にてこずれば、BankingWeb21の採用を取りやめたのと同様の事態が起こりかねず、先行きは不透明だ。

 NECのBankingWeb21の採用撤回を決めたのは、大光銀行が初めて。残るBankingWeb21の導入予定行は、すでに稼働した八千代銀行を除き、東日本銀行、愛媛銀行、高知銀行、トマト銀行(岡山県)、大東銀行(福島県)、びわこ銀行(滋賀県)、三重銀行の7行。

 ITベンダーが開発する勘定系システムを巡っては、富士通が「PROBANK」の開発にてこずり、北日本銀行(岩手県)、島根銀行(島根県)、十八銀行(長崎県)、佐賀銀行(佐賀県)、筑邦銀行(福岡県)が採用を撤回した例がある。

大和田 尚孝=日経コンピュータ