ボーランドは6月16日、ユーザーの要求を管理するためのツール「CaliberRM 6.5日本語版」を発表した。システム構築の最上流でユーザーの要求を整理し、それをプロジェクト全般において設計者や開発者が共有するためのツールである。出荷は6月29日。価格は1クライアント32万円から。

 同社のプロフェッショナルサービス部 今村智部長は、「短期開発では要求定義に時間がかけられないため、プロジェクトの途中で要求が変更されやすい。その変更に対応しやすい仕組みをCaliberRMで提供する」と述べる。CaliberRMが備える機能は大きく分けて三つある。(1)ユーザーから聞き出したシステムに対するさまざまな要求をツリー構造などで管理する機能、(2)その情報をプロジェクトのメンバーで共有する機能、(3)要求の変更があった場合にその影響を示す機能、である。

 要求を整理するための項目は、「画面一覧」や「ユースケース」などデフォルトで用意するが、ユーザーが項目を追加することも可能である。UML(統一モデリング言語)のユースケースは項目として用意するものの、特定のモデリング言語や開発方法論は用いず、要求を言葉や図で自由に表現できる。

 登録した要求に対して、要求同士の関連や変更履歴を管理する機能を備える。例えば、ユーザーから見て必要なシステム機能を示すユースケースで、「商品を注文する」や「注文履歴を確認する」などの複数のシステム機能をツリー状に管理する(写真)。「商品を注文する」といったシステム機能が変更されれば、関連する他のシステム機能をツリー図で表示する、といった機能がある。今村部長は、「要求を構造的に管理するため、あいまいさを排除できる」という。

森側 真一=日経コンピュータ