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コグノスのドン・キャンベル担当副社長 「ERPパッケージ(統合業務パッケージ)を導入した企業のなかには、『高額な費用を支払ったのに効果が出ない』と悩んでいるところもある。そういう企業にこそ、BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフトの利用を勧めたい」。BIソフト・ベンダーであるカナダのコグノスで製品開発・技術革新担当副社長を務めるドン・キャンベル氏は、こう主張する。

 「ERPパッケージを導入した企業は、『保持しているデータにいかに付加価値をつけるか』をもっと考慮すべきだ。企業のさまざまな部門の担当者がBIソフトを使えば、ERPパッケージで収集したデータを自分に必要な業務に応じて分析し、業務改善に生かすことができる」と、キャンベル氏は続ける。

 コグノス日本法人はすでに、データ分析ソフト「PowerPlay」、PowerPlayをERPパッケージと連携させるコネクタ、PowerPlayで分析したデータを企業の担当者が利用できるようにするレポーティング・ソフト「ReportNet」などを提供している。加えて5月11日には、PowerPlayで扱うデータがあらかじめ設定した条件を満たすと、そのことを電子メールで担当者に通知するソフト「Cognos NoticeCast 7 v2」を出荷した。キャンベル氏は、「NoticeCastによって、利用者はリアルタイムにデータの変化を把握できる。これで、企業はERPパッケージのデータをより効果的に活用できるはずだ」と話す。

 NoticeCastでは、例えば「ある商品の前年における売り上げ実績」をしきい値に設定し、最新の売り上げデータがその値を下回ると担当者全員に通知する、といった設定ができる。メールにはURLが書かれており、受け取った担当者がそれをクリックすると、該当するデータの画面が表示されて、実際の数字を確認できる。

 コグノスは今後、「既存のBIソフトに加えて、コーポレート・パフォーマンス・マネジメント(CPM)を支援するための製品をそろえていく」(キャンベル氏)。CPMは企業の実績をトータルに管理する仕組みのこと。財務データや販売に関するデータ、顧客からの反応など定性的および定量的なデータを分析し、その結果を加味して企業全体の戦略を策定。その戦略をもとに具体的な事業計画を立案し、遂行する。計画を実行した結果、得られた実績データを分析して、その結果を次の戦略策定に生かす。こうした一連の作業を繰り返すのがCPMである。

 キャンベル氏は、「CPMを実践するには三つのアプリケーションが必要だ」と説明する。「まず、企業の実績を分析するためのBIソフト。二つ目は、企業の戦略策定を支援するためのスコアカーディング・ソフト。これら二つの製品はすでに出荷している。もう一つ、策定した戦略から具体的な事業計画を立案するソフトが必要になる。このソフトはすでに英語圏では出荷しており、日本でも出荷する計画がある。将来的に、この3製品を統合していく」(キャンベル氏)。

島田 優子=日経コンピュータ