[画像のクリックで拡大表示]

ノキアのIP2250 ノキア・ジャパンは6月1日、ファイアウォール兼VPN(実質的な専用線網)アプライアンス(専用サーバー)の新製品「IP2250(写真)」と「IP1220」の出荷を開始した。両製品は大企業やサービス・プロバイダ向けの製品で、なかでもIP2250は同社製IPシリーズの最上位機種となる。

 安藤正之エンタープライズ・ソリューションズ事業部シニア テクニカル マネージャーは、「IP2250/1220は既存機種に比べ、VPN通信の処理速度が最大3倍向上する」と話す。その理由は、両製品が独自OSの新版「IPSO 3.8」を採用しているためだ。

 IPSO 3.8は、簡単なセキュリティ処理ができる。これにより、VPNアプリケーションを使って安全な通信が可能になった後は、VPNアプリケーションによる処理を通さず、OSによる簡単なVPN処理だけで通信を続けることが可能だ。従来機種でVPN通信をする場合は、すべての通信パケットをいったんVPNアプリケーションで処理しなければならず、処理速度が遅くなる原因となっていた。ファイアウォール処理については、従来のOSでも同様のセキュリティ機能を実装している。

 このほか最上位機種のIP2250では、通信の安全性を確保するまでの処理を行うプロセサと、その後の通信を処理するプロセサとを別々に用意して、高速化を実現している。さらにIPシリーズでは初めてHDD(ハードディスク・ドライブ)をなくし、代わりにコンパクト・フラッシュを搭載することで高速化を図った。柳下幹生エンタープライズ・ソリューションズ事業部カントリー ジェネラル マネージャーは、「従来の最上位機種に当たるIP1260に比べ7倍のスループットを実現した」と説明する。

 IP2250は10BASE-T/100BASE-TXを36ポート、もしくはギガビット・イーサネットを8ポートと10BASE-T/100BASE-TXを4ポートまで装備可能。IP1220は10BASE-T/100BASE-TXを20ポート、もしくはギガビット・イーサネットを8ポートと10BASE-T/100BASE-TXを4ポートまで装備可能。IP1220はHDDを使っており、ミラーリング構成にできる。

 価格はIP2250が1586万円から、IP1220が654万円から。IPSO 3.8は、既存のIPシリーズのほとんどからアップグレードして利用できる。

 ファイアウォール/VPNアプライアンスは、セキュリティ対策用のアプライアンスのなかで最も売れており、国内市場は出荷金額100億円以上の規模になっている。ノキアは国内市場で、ジュニパーネットワークスやシスコシステムズと並ぶシェアを確保している。

鈴木 孝知=日経コンピュータ