京都府は、電子自治体システムの開発に本格的に乗り出した。5月に電子府庁推進プロジェクトを立ち上げ、兼任を含め約50人の職員が業務改革とシステム開発を進める。

 京都府のシステム開発の特徴は、住民・企業へのサービスと数万点にも及ぶ伝票や帳票を整理しながら、データ設計を実施すること。京都府で扱っているデータの流れや処理を分析し体系化する。電子自治体システムを開発する前に、業務全体のデータ・モデルを作ろうとする自治体は珍しい。

 データの体系化によって、京都府の行政業務の全体像を明確にすることを狙う。さらに全体像を俯瞰しながらシステム化すべきところを見つけ、行政の情報化と効率化を行う。さらにサブシステム分割を適切に行うことによって、システムの複雑化(スパゲティ化)を防ぐ。これで拡張性・保守性を高めて、府民のニーズの変化や、法律・制度の改正にシステムがすばやく追随できるようにする。

 システムの機能については、府民との情報共有を重視する。データベースに保存した公文書は基本的に公開。予算編成プロセスはインターネットで把握できるようにして府民にオープンにする。「府政総合情報サービスセンター(仮称)」と呼ぶコールセンターも整備する計画だ。

 府庁内では、決裁業務の簡素化と電子化によって効率化を図る。業務の変化に素早く対応できるように、ワークフローを容易に変更できるようなシステムを作る。

(安保 秀雄=日経コンピュータ)