日本工業標準調査会は5月20日、情報アクセシビリティに関して詳細なガイドラインを定めた国内初の規格「JIS X8341」を策定した。正式名は「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」。規格書は今後2週間程度で、日本規格協会が発売する(情報アクセシビリティに関する詳細は、日経コンピュータ5月31日号「クローズアップ」で紹介する予定)。

 JIS X8341は、システム構築を手がける日本IBM、NEC、富士通、日立製作所といった大手ベンダーが注目している。JIS規格には法律のような強制力はないものの、官公庁や自治体にとっては強制に等しい影響力を持つからだ。Webアクセシビリティの制度化で先行した米国と同様、コンピュータやコピー機、あるいはWebサイトなどのシステム構築案件の調達条件に含まれる可能性が高い。

 規格策定と並行して、Webサイトなどの改善などに取り組む自治体を狙ったITベンダーによる“アクセシビリティ商戦”も活発化している。多くの顧客を抱えるパソコン・メーカーやインターネット接続事業者も、今回のJIS規格に関心を寄せている。

 JIS X8341のうち、今回策定されたのは情報アクセシビリティの概念を整理した第1部「共通指針」と、コンピュータなどの情報通信機器についてハードやソフトの設計ガイドラインをまとめた第2部「情報処理装置」。Webアクセシビリティについてまとめた第3部「ウェブコンテンツ」は、6月20日付で策定される見込みである。

本間 純=日経コンピュータ