シマンテックは、クライアント用セキュリティ・ソフトウエアの新版「Symantec Client Security2.0」を、6月4日から販売する。Symantec Client Securityは、ウイルス対策機能を備える「Symantec AntiVirus」と、パーソナル・ファイアウォール「Symantec Client Firewall」を統合したもの。企業のシステム管理者が、ツールを使って集中管理できる。新機能の目玉はモバイル対応である。ノート・パソコンを複数のネットワークにつなぎ替えて利用するケースを想定した新機能を加えた。

 例えばClient Security2.0は、接続するネットワークに応じて、パーソナル・ファイアウォールの適用ルールや動作を変える機能「ロケーション・アウェアネス」を搭載する。社内LANに接続した場合のみファイル共有を許可する、自宅でのみストリーミングの視聴を許可する、といった制御が可能になった。

 ノート・パソコンをネットワークに接続すると、Client Security2.0は、ネットワーク・アドレス、デフォルト・ゲートウエイのIPアドレスやMACアドレス、無線LANのESS-ID(拡張可能サービス・セットID)などを基に、どのネットワークに接続したかを識別。そのネットワーク向けにあらかじめ設定しておいたファイアウォールのルールに従って、利用可能なアプリケーションの種類や通信先を制御する。

 さらに、VPN(実質的な専用線網)通信時に、そのパソコンのセキュリティをチェックする機能も搭載した。VPN経由でのウイルスやワームの侵入を防ぐ。あらかじめ、「Sym Sentry」と呼ぶモジュールをインストールしておく。そのパソコンがVPN通信を開始しようとすると、Sym Sectryが「Symantec AntiVirusがインストールされているか」、「パターン・ファイルは最新か」、「Symantec Client Firewallは有効になっているか」など、管理者があらかじめ設定した項目をチェック。条件を満たしていないパソコンのVPN通信を禁止する。

 シマンテックによると、同社製品の販売ライセンスの約半分はノート・パソコンで利用されているという。「企業のパソコンを持ち運んで、自宅や外出先のネットワークに接続するケースは多い。しかし、社内で利用していた共有フォルダは、外出先では情報漏えいの原因になってしまう。Client Security2.0では、こうした問題を解決できるようにした」(プロダクトマーケティングの吉田一貫氏)。

 このほかに、メールを使ってほかのパソコンに自分自身をコピーするワームの感染や、スパイウエアによる情報漏えいを防ぐ機能を加えたり、パターン・ファイルの更新機能である「LiveUpdate」を管理者が強制的に実行できるようにした。価格は、10~24ユーザーで1ユーザーあたり1万4300円。7月中旬には小売店でパッケージの販売を開始。こちらは5ユーザーまでで7万6000円。いずれも、管理ツールを含む。

(福田 崇男=日経コンピュータ編集)