米アクセンチュアは5月4日、第5回電子政府進捗度調査の結果を発表した。同調査は毎年実施しているもので、今年は1月7日から23日までの17日間、22カ国の政府を対象に行った。首位は4年連続でカナダ。日本は昨年の15位から11位に上昇した。

 「日本では行政手続きの電子化は進んでいるが、利用者視点でのサービス提供が不十分という現状が、調査によって浮き彫りになった」とアクセンチュア日本法人の中島康雄パートナーは説明する。日本政府は、行政サービスの電子化範囲やサービス・レベルを表す「サービスの成熟度」では4位と高評価だった。にもかかわらず、トータル順位が11位なのは、利用者視点でのサービスができているかを表す「CRM(顧客関係管理)の活用度」が19位と低迷し、足を引っ張ったからだ。

 日本政府も利用者視点が不足しているという問題意識は持っており、徐々に改善の取り組みを進めている。今年1月には政府のポータル・サイトをリニューアルし、国民がライフ・イベントごとに必要な行政手続きを容易に参照できるようにした。現時点では、手続きをリストアップしたに過ぎず、サービスとして十分とはいえないが、取り組みの方向性は評価できる。今後、利用者視点の取り組みを加速させていくことが日本政府に求められる。

広岡 延隆=日経コンピュータ