「いわゆる2007年問題に対応したいということで、当社が提供する『プログラムの棚卸し・可視化サービス』を利用する企業が増えている。現在、複数のユーザー企業へのサービスを並行して手掛けている状況で、2007年問題が企業にとって切実な問題になってきていることを実感している」。

 こう話すのは、システム・インテグレータであるアクセスの山田欣吾ニュービジネスディビジョン ニュービジネスグループ マネージャー。同社は1年半前、企業が保有するプログラムを棚卸しし、状況を可視化することを有償で請け負う「AAAサービス」をスタートさせた。すでに二桁の企業のプログラムを棚卸し・分析した実績があり、現在10社程度の企業にサービスを提供中である。

 2007年問題とは、団塊の世代を中心とした熟練エンジニアが、定年などの理由でここ数年の間に一気にシステム開発・運用の現場から去る現象を指す。自社のプログラムを熟知しているエンジニアがいなくなることで、運用や保守に影響が出ることが懸念されている。特効薬があるわけではないが、2007年問題の解決には熟練エンジニアの雇用の延長や既存プログラムの可視化などが有効だとされる。

 アクセスのAAAサービスは、メインフレームなどで動作するレガシー・プログラムの稼働・非稼働の判定や規模の正確な把握、個別プログラムとデータがどう関連しているかの調査、などを行う。さらにニーズに応じて、プログラムの変更や再構築などによって生じる影響も分析する。

 当初は、レガシー・システムをオープン系に移行するためや、システム運用コストを削減するためにAAAサービスを利用するユーザー企業が多かった。しかし最近になって、2007年問題に対応するために同サービスを活用する企業が増えているという。

 アクセス以外に大手メーカーなども、プログラムの棚卸し・可視化サービスを実施している。しかしメーカーの一部には、既存資産の棚卸し・可視化は自社ユーザーのリプレースにつながるとして消極的な対応を見せるケースがあるという。こうした背景が、独立系インテグレータであるアクセスのサービスに注目が集まる原因になっているようだ。

(中村 建助=日経コンピュータ)