日立製作所は4月28日、2004年3月期決算を発表した。情報通信システム部門全体の売上高は前期比22%増の2兆3145億円だった(連結、以下同)。アウトソーシング事業や第3世代携帯電話向け通信関連事業が堅調だった。しかし、営業利益は前期比37%減の699億円になった。ハードディスク事業の赤字が響いた。日立は、「ハードディスク事業は最終的に赤字を計上したものの、赤字幅は縮小している。2005年3月期は200億円の黒字を見込んでいる」(広報部)としている。

 情報通信システム部門の売上高の内訳をみると、ソフト/サービスが前期比1%増の9906億円、ハードが前期比45%増の1兆3238億円となった。営業利益は、ソフト/サービスが同7%減の562億円。「ソフトでは、メインフレーム向けソフトの販売の落ち込み、全体的に単価も下落した。一方、サービスについては、(連結対象の)日立ソフトウェアエンジニアリングがプロジェクトの難航で特別損失を計上したが、アウトソーシング事業が堅調に推移して、ソフトほどの減益にはならなかった」(広報部)。なお、ハードの営業利益は、2003年度上期にハードディスク事業を立ち上げの影響で同73%減の136億円となった。

 日立製作所全体の連結売上高は8兆6324億円(前期比5%増)、営業利益は1848億円(前期比21%増)となり、2期連続の増収増益となった。日立製作所の八丁地隆G-法務・コミュニケーション部門長は、「売上高は、半導体事業を外部に移管した分が減った。だが、昨年米IBMから買収したハードディスク事業の規模拡大、IT関連市況の回復などによって増収となった」と説明する。

 一方営業利益については「ハードディスク事業の赤字があったものの、電子デバイス事業やデジタルメディア・民生機器事業の改善、高機能材料事業の好調で、増益となった」としている。

西村 崇=日経コンピュータ