「最近、当社が実施するプライバシーマーク取得セミナーに関する問い合わせで、経営者じきじきの電話を受けることが多くなった」。こう語るのは、トーマツ環境品質研究所マーケティング室の前田寛之室長だ。「ソフトバンク、ジャパネットたかたやアッカ・ネットワークスで起きた個人情報の流出を見て、経営者は『対岸の火事』とは思えなくなっているのではないか」と分析する。
 
 トーマツ環境品質研究所は、個人情報保護の管理プロセスの資格であるプライバシーマーク取得支援サービスを手がけている。「これまで経営者は『個人情報保護に対する取り組みはそれほど緊急を要したものではない』と一般に考えていた。最近多くの企業で個人情報の漏洩が発覚すると、企業の信用問題にかかわると考えて、個人情報保護の取り組み強化を検討しているのだろう」と前田室長は続ける。

 トーマツ環境品質研究所は「プライバシーマークみんなでがんばって取得しよう講座」を定期的に実施している。この講座は3カ月間のべ8回実施する講義を受けながら、プライバシーマークの取得に必要な書類を作成していくもの。費用は40万円。「通常の取得コンサルティング・サービスの4割以下の料金でプライバシーマークの取得準備ができる」(前田室長)。

 講義は「社内にある個人情報の洗い出し」、「リスク分析・評価」、「リスク対策」「個人情報保護方針の策定」といったカリキュラムに沿って進めていく。講義が終わるごとに参加者は宿題をこなしていく。宿題とはプライバシーマーク取得に必要な書類の作成だ。「社内にある個人情報のリスト」、「漏洩リスク分析チェック・リスト」、「個人情報管理台帳」、「マニュアル」といった書類をまとめる。

 講義会場の様子を覗いてみた(写真)。この日は企業担当者が10人ほどが講義に参加していた。オフィスから出る書類の処理代行サービスを手がけるアワーズの中條透取締役は、「プライバシーマークを取得する顧客企業が増えているので、当社も取得することにした」と参加の経緯を説明する。

 「講義形式ということもあり、費用がリーズナブルなので参加した」という、ソフト開発会社のファイナンシャルブレインシステムズの岡本悦弘システム監査室室長は、「プライバシーマークを取得するうえで直面する課題について参加者同士で情報交換できるのがよい」と語る。

西村 崇=日経コンピュータ