富士通は4月27日、2003年度(2003年4月1日~2004年3月31日)の連結決算を発表した。売上高は前年比3.2%増の4兆7668億円、営業利益は前年比49.7%増の1503億円。2003年度の当期純利益は497億円で、前年度の1221億円の赤字から黒字転換を達成できた。2003年度第3四半期に赤字だった経常利益も2003年度通期では前年比301.9%増の497億円となった。

 ただし、システム構築(SI)事業で巨額の特別損失を計上した。「SI事業のソフトウエア・サービスビジネス部門で今年から来年にかけて開発中のプロジェクトを精査した結果、回収の見込みが立たない683億円を特別損失として計上する。これを期に不採算案件が出ないよう、最大限の努力をする」と、CFO(最高財務責任者)を務める小倉正道専務は述べる。特別損失はソフトウエア・サービスビジネス部門のほか、北米・欧州事業の再編などで合計1875億円を計上。一方、特別利益として、連結対象だったファナック株の売却、不動産の流動化、厚生年金の代行返上などに合計2948億円を計上した。

 ソフトウエア・サービスビジネス部門の売上高は前年比3.4%増の2兆942億円。しかし、営業利益は前年比1.9%減の1387億円の減益となった。富士通は減益の理由として、価格競争の激化、不採算案件の増加、Linuxなどの新技術への先行投資などの理由を挙げる。加えて、「顧客企業のIT投資に対する姿勢は未だ厳しいことも、ソフトウエアやサービス部門で利益が上がらない理由」(小倉専務)としている。

 ハードウエア部門のプラットフォーム事業は売上高が対前年度比0.2%減の1兆6081億円、営業利益は前年度から282億円増となる292億円だった。営業利益が増加した理由については、ノート・パソコン向けのハードディスク、新紙幣対応による金融端末装置の利益の増加、2002年~2003年にかけて実施した構造改革によるコストダウン効果などによるとしている。

 来年度の見通しは、連結で売上高は今期比3.8%増の4兆9500億円、営業利益は33%増の2000億円を見込む。このうち、ソフトウエア・サービスビジネス部門の売上高は1.2%増の2兆1200億円、プラットフォーム部門の売上高は9.4%増の1兆7600億円を予想している。小倉専務は、「2004年度はプラットフォーム事業を重点分野として、信頼性のあるハードウエア製品を出していく。ソフトウエア・サービス部門はシステム構築事業から、アウトソーシングを請け負うインフラサービス事業への移行期として位置づけている。インフラサービス事業の強化を進めたい」とした。

(島田 優子=日経コンピュータ)