大日本印刷は5月から、Excelの計算処理を高速化するグリッド・コンピューティング・システムを販売する。グリッド・システムをWebサービスに対応させ、社内の様々なユーザーが簡単にグリッド・システムを利用できるようにしたのが特徴。

 4月27日から東京ファッションタウンで開催しているGrid World 2004では、6台のパソコンを使って、Excelによるシミュレーション計算を分散処理して見せた。

 写真の左側にあるのが、Excelで計算をしようとしているユーザーのパソコン。中央が計算処理を受け付けるWebアプリケーション・サーバー(WebSphere)、右側と奥にあるのが分散処理するための6台のパソコンである。

 中央のパソコンと分散処理する6台のパソコンには、大日本印刷が新しく開発したWebサービス対応のグリッド構築ソフト「AD-POWERs」がインストールしてある。ここで、左側のパソコンでユーザーが計算を実行すると、中央のパソコンを介して処理を分散し、計算が終了すると結果を左側のパソコンに返す。

 大日本印刷では、企業の本社などにグリッド用のパソコンを設置しておき、全国の拠点からWAN経由でユーザーが自由にグリッド・システムを利用することを想定している。「Webサービス対応なので、ExcelのVisual Basicアプリケーションのなかに、グリッド・システムのWebサービスを呼び出すためのプログラムを1行、追加するだけでよい。従来、グリッドを利用するために必要だったC言語の知識はいらない」(大日本印刷の伊豫田一成技術開発センター生産総合研究所研究開発第1部グループリーダー主任研究員AD-POWERs担当)。

 このほか、画像処理や業務処理などをWebサービスとして登録しておくと、Excel以外の処理にも利用できる。「Webサービスならユーザーが簡単に呼び出すことができ、社内でグリッドを利用しやすくなる」(伊豫田主任研究員)と説明する。

 システムの構築料金は、ハードを除いて300万円から。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)