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ボーランドのオルソン氏 「米国のシステム・インテグレータの人たちと話すと、彼らが『MDA(モデル駆動アーキテクチャ)』に対して、大きな関心を抱いていることがわかる。MDAが、インドや中国などオフショアに対抗するための有力な手段ととらえているからだ」。米ボーランドのトゥゲザー・ビジネス・ユニットでチーフ・サイエンティストを務めるトッド・オルソン氏(写真)は、このように話す。

 MDAは、UML(統一モデリング言語)で作成したモデルから、プログラム・コードを自動的に生成することを狙う新しいシステム開発手法。(1)OSやミドルウエア、言語などに依存しないモデルの「PIM(Platform Independent Model)を作成する、(2)PIMを基に、OSやミドルウエア、言語などに依存するモデルの「PSM(Platform Specific Model)」を作成する、(3)PSMを基に、プログラムのソース・コードを生成するという流れで進める。

 (1)から(3)までの作業を完全に自動化するのが、MDAの目標である。今年6月以降に最終確定が見込まれているUML 2.0に、MDAの考え方が取り込まれている。

 オルソン氏は、「米国のシステム・インテグレータにとって、大量のプログラム開発を低料金で請け負うインドなどオフショアの存在は脅威になっている」と話す。システム・インテグレータがMDAに注目しているのは、「MDAを使えば、オフショアと同等のコストと生産性でプログラムを生成できるようになると期待できるからだ」(オルソン氏)。

 MDAの目標通りに、上記の(1)から(3)までの作業が自動化できるなら、プログラム開発はモデルから生成できない部分だけに限定できる。エンジニアはモデル作りに専念して、モデルのカバー範囲を広げていけばよいことになる。

 ただしオルソン氏によれば、米国のシステム・インテグレータは大きく2極化しているという。「一つは、オフショアのトレンドを積極的に取り入れようとするインテグレータ。インドなどに進出し、開発拠点を作っている。もう一つは、オフショアを“対抗すべき存在”と考えているインテグレータだ」(オルソン氏)。

 ボーランドはUMLツール・ベンダーの米トゥゲザーソフトを昨年買収し、現在は「Borland Together」というブランド名で販売している。今年後半には、MDAに基づいたTogether製品を出荷する。PIMからPSM(上記(1)から(2))に変換する仕組みを搭載する備える計画だ。「PSMを基にソースコードを生成することができるようにもしていく」とオルソン氏は話す。

西村 崇=日経コンピュータ