マイクロソフトは、社会貢献などを目的とした長期的戦略の立案を手掛ける新組織「技術企画室」を設置した。米マイクロソフトの古川享副社長が、4月22日の記者説明会で明らかにした。日本法人の最高技術責任者を兼務する古川氏の下で、既に2月から新宿本社を拠点に活動を開始している。

 技術企画室は、WindowsやOfficeといった製品開発部門とは独立して、より長期的な技術課題の解決に取り組む。具体的には、情報アクセシビリティ、技術標準化、産学連携、セキュリティ、知的財産権などである。社内から各分野を担当する専門家5人を集め、日本での技術戦略を統括する古川氏のブレーンとして活動する。さらに、これらの専門家は政府や大学、報道機関に対して、各分野でスポークスマンの役割を果たす。

 古川氏は、障害者や高齢者に情報アクセシビリティを提供することにより、同社が社会に貢献していく姿勢を強調。また、独占への批判が絶えないことについては、米サン・マイクロシステムズとの提携や様々な標準化活動を通じて、他社との協調を進めていることを説明した。

 同氏は、「マイクロソフトへの批判が絶えないのは『顔が見えず、何を考えているか分からない』のが一因」と自己分析。今後、社内の専門家が積極的に発言し、マイクロソフトの姿勢を示していくべきとの考えを示した。

本間 純=日経コンピュータ