「FileMakerは“データベース・ソフト”といわれているが、単なるデータベース・ソフトではない」。米ファイルメーカー社長のドミニーク・P・グピール氏は同社が販売するソフト「FileMaker」について、こう説明する。「FileMakerは、別々のファイル(テーブル)に保存したデータを統合して一つの文書を作成する機能や、その文書をドラッグ・アンド・ドロップでデザインする機能、作成した文書をクリック操作だけでWebで公開する機能など、多様な機能を備える。データを蓄積する以外にこういった複数の機能を統合して使える部分がFileMakerの大きな特徴であり、競合製品との大きな差異化ポイントだと考えている」(グピール氏)。

 加えて、米ファイルメーカーの日本法人の宮本高誠ファイルメーカー社長は、「基幹系システムと協調して動作するデータベースの定義で考えると、FileMakerはデータベースの定義に当てはまらないかもしれない。しかし、FileMakerはデータ・ベース構築ソフトか、文書を共有したりワークフローを管理するビジネス・マネジメント用のソフトなのか、と問われたら、両方とも“その通り”と答える。FileMakerというソフト名はソフトウエアの機能を全て表せていないかもしれない。データベース以外の色々な機能を強調していきたい」と話す。

 同社は4月15日、FileMakerの新版「FileMaker Pro7」を5月中旬に出荷すると発表した。グピール氏は新版について、「FileMakerの一番最初のバージョンを出荷したのが1989年。それ以来の最大の変化」と説明する。新版はFileMakerの中核となるデータベースを強化。最大2Gバイトだった取り扱い可能なデータ容量を最大8T(テラ)バイトに拡張した。そのほか、別々に格納していたテキスト、音声、画像といったデータをWebで公開する「インスタントWeb公開機能」も加えた。価格は3万9000円。動作OSはWindows 2000/XPとMac OS X。

 FileMakerの主なターゲットは中堅・中小企業や大企業の事業部門。新版のデータベース・エンジン強化で、「企業への導入が、ぐんと進む可能性が広がった」と宮本社長は話す。「今までFileMakerで取り扱えるデータ取り扱い量が少なかったため、テキスト・データが中心にも関わらず新しいデータを入れると古いデータは消さなければいけない場面があった。しかし今後は、企業内でも音声や画像データの取り扱いが増え、必要なデータ容量はますます増える。新版の発売で、ユーザーはデータベース容量を気にしないで利用できるようになる」(宮本社長)。

島田 優子=日経コンピュータ