「日本の企業は(性能の低い)Celeronを搭載したパソコンをよく使うが、これは賢い選択ではない」。米インテルのウイリアム・スー副社長 兼 デスクトップ・プラットフォーム事業本部長(写真)は、日本の企業がクライアント・パソコンの性能に無頓着である点にいらだちを隠さない。「世界的に見れば、Pentium 4のユーザーの半数以上は企業だ。しかし日本では、他の地域よりCeleronの割合が高い」(同氏)。

 スー副社長は「日本では性能より省スペースなどの特徴を重視する傾向がある。そのコストのために、プロセサにかけるコストを妥協しているのではないか」と見ている。だが、その姿勢は間違いだという。「電子メールや表計算といった作業だけならプロセサの性能は要らないと思いがちだ。しかし、バックグラウンドでウイルス・スキャンや暗号化処理を行う場合を考えてほしい。Pentium 4が搭載するハイパー・スレッディング(HT)テクノロジなら、そうしたマルチタスク処理でも性能が不足することはない」(同氏)。企業に向けて、Pentium 4を採用することで生産性やセキュリティが上がることをアピールしていきたいという。

 ただ、同氏の主張を額面通り受け取るのは少し無理がある。現在のプロセサは、Celeronのローエンド製品でも企業向けには十分な性能を持つと考えられるからだ。インテルとしては「安いCeleronばかり買われてはビジネスとしてのうま味がない」というのが本音ではないだろうか。

大森 敏行=日経コンピュータ