4月8日19時11分、東京航空交通管制部にある航空路レーダー情報処理システム(RDP)に障害が発生した。RDPは飛行している航空機の便名や位置情報を、管制部のモニターに表示するシステム。通常は2台のハードで運用しているが、19時11分に2台とも同時にダウンした。

 2台の内の1台は、ダウン直後から19時15分までの間に4度の再起動を繰り返した結果、正常に動き始めたた。しかし、管制部では障害の原因が分からないハードでRDPを運用するのは危険性が高いと判断。待機系である3台目のハードに処理を引き継がせた。

 ただし、待機系のハードには飛行している航空機のデータを、空港の管制システムに自動的に引き継ぐ機能がない。管制官同士が電話でやりとりするなど、業務の一部を人手を介して行う必要がある。業務の処理速度は遅くならざるを得ず、国内の空港を出発する航空機だけで120便に30分以上の遅れが出た。着陸を遅らせている航空機の数や遅延時間は「不明」(東京航空交通管制部を監督する国土交通省)である。

 21時32分には、19時11分からダウンしていた残る1台の本番系のハードが復旧。これを受けて、RDPの処理を待機系から本番系に戻した。ただし、9時を過ぎてから復旧した本番系のハードについては、障害の原因究明を優先させており、業務処理には利用していない。

 国土交通省は、「9日の運行に影響が出るかどうかは、障害の原因がどこまで究明できるかで変わってくる。現時点ではまだ詳しい原因は分かっていない。システムを構築したNTTデータと協力して、9日の運行に影響がないようにしたい」としている。ただ詳しい原因は分かっていないものの、本番系のハードが2台同時にダウンしたことから、障害の原因はソフトウエアのバグである可能性が高い。

(松浦 龍夫=日経コンピュータ)