「光ファイバでイトーヨーカ堂(IY)グループの各店を接続してシステムを統合すると、システム開発コストが3~4割、運用コストも3~4割を削減できる。グループ全体では、数百億円を削減できるだろう」。イトーヨーカ堂の村田紀敏専務取締役は、4月8日の決算発表会でこう述べた。

 IYグループは約300億円をかけて11月から順次、イトーヨーカドー、セブン-イレブン、デニーズ、ヨークベニマルなどの1万1000店舗を、光ファイバ網で各社の本部が共同で入居するビルやデータセンターと接続する。高速・大容量の通信ネットワークを利用して、数年後の稼働を予定している次期基幹系システムではデータセンターへの集中化を進める。村田専務は「直接、本部と高速回線で接続できるので、各店に設置していたサーバーはほとんどいらなくなる」という。

 次期基幹系システムでは、グループ各社が個別に開発していたシステムの共通化も進める。「今までは、個別に一から開発をやっていたが、イトーヨーカ堂、セブン‐イレブンなどで、ソフトの機能を共用できる部分はたくさんある」(村田専務)。

 セブン‐イレブン・ジャパンの山口俊郎代表取締役社長は、光ファイバの接続によって、「店舗への動画配信や、新しい予約・問い合わせサービスの提供などが容易になる」と期待する。衛星を使った動画配信はすでに実施してきたが、「天気が悪いと配信できない地域が出てしまう。光ファイバを使えばこうしたことを改善できるだろう」(山口社長)という。

 なお、IYグループ本部は5月1日からゴールデン・ウイークを利用して、東京都千代田区の新しいビルに移転する。本部ビル内では、店舗に先駆けてIP電話の利用を開始する。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)