「昨今の情勢不安で、企業や自治体などが警備体制の強化に力を入れている。こうした状況はソニーにとってはビジネス・チャンス。監視カメラ、伝送用のネットワーク、ストレージ機器を提供できるからだ」。ソニー プロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニー(ソニーPSNC)の尾上善憲ブロードバンドコミュニケーションカンパニープレジデントは、こう語る。

 ソニーは今年2月付けで、企業向けに映像システムや情報システムを提供するPSNCを発足。4月7日の事業戦略説明会で、監視カメラ事業に注力する方針を発表した。

 例えば、空港や港湾、鉄道、オフィス、マンションなどで、監視カメラの導入が進むと見ている。尾上プレジデントは、「今後は屋外に監視カメラを設置したり、夜間の監視をするニーズが特に増えるだろう」と予想する。

 ソニーが提供するのは、LANケーブルを直結してIPネットワーク経由で動画や静止画を送信できるカメラ、記録用のストレージ装置、ネットワーク・サービス「bit-drive」、統合監視用のシステムである。価格は構成によって異なるが、カメラ4台、監視用ソフト、パソコンを導入した場合、約135万円。

ソニーが提供する監視用カメラ カメラには動きを検知する機能を内蔵しており、人がいるときだけ動画を送信することができる。写真は、港湾など広範囲を監視するためのカメラで、パノラマ撮影機能を備える。カメラを上下左右に自動で動かしながら、15秒以内に128枚を撮影できる。全体で1億画素になるという。

 先行事例として、三井住友銀行が進めている「防犯用デジタル画像遠隔記録システム」を紹介した。同行は1300拠点で、1万2000台のカメラの導入を進めているという。

坂口 裕一=日経コンピュータ