日本テレコムは4月1日、JR東日本の駅構内を中心とした無線LANによる商用ホットスポット・サービス(無線LANアクセス・サービス)「モバイルポイント」を開始した。写真のマークがある駅やホテルなどで、IEEE802.11b方式の無線LANを利用できる。

 同社の松原大助法人事業本部マーケティング戦略部長は、「2001年から実験を進めてきたが、ここへきて需要も増えた。企業向けの通信サービスと組み合わせるメドもたったため、事業化した」と話す。

 日本テレコムは、2001年9月から無線による駅でのインターネット接続サービスの実験を進めてきた。今年2~3月では、平日の1日あたりの利用者は350~400人で、当初の3倍になったという。「無線LANを内蔵して、バッテリが長持ちするノート・パソコンの普及も追い風だ」(日本テレコム法人事業本部マーケティング戦略部プロモーションマーケティンググループの河相光孝氏)という。

 サービスを利用するためには、日本テレコムのサービスに対応しているISPに加入する必要がある。現在ODN、DION、JENS SpinNetなど8つのISPが対応を表明している。料金はISPが個別に決める。ノート・パソコンに特別なソフトをインストールしたり、特別な無線LANカードを用意する必要ない。

 日本テレコムが提供しているODNの場合、4~5月は無料。「6月以降の料金を有料とするか、無料期間を延長するかは、今後検討する」(松原部長)。

 このサービスで、日本テレコムが最も期待しているのは、駅の無線LANスポットと企業の社内ネットワークとを直結する使い方である。企業が利用している日本テレコムのIP-VPNや広域イーサネットと、無線LANを接続するサービスを計画中で、実現すればインターネットを経由せずに企業の業務システムにアクセスできる。「社外でもセキュリティを保ちながら、“どこでもオフィス環境”を実現できる」(松原部長)とアピールする。

坂口 裕一=日経コンピュータ