「不景気のあおりを受けてITの追加投資ができないような企業こそ、当社のターゲットだ」。EAI(企業内システム統合)ソフト大手の米シービヨンド・テクノロジーのカーブ・ムーア プレジデント兼COO(最高執行責任者、写真)はこのように自社製品をアピールする。

 「IT投資を比較的ふんだんに行えた時代は、作ったシステムをすべて捨てて、一から作り直すことができた。しかし今はそのような企業は多くない。既存のシステムを活用しながら、企業システムの全体像を徐々に見直していくことが大事。そのために、EAIソフトは効果を発揮する」という。まず、企業内にある複数のシステムが複雑に接続し合っている状況から、EAIソフトを基盤として整理する。そのうえで少しずつ全体のシステム像を改変していくよう勧めていく。

 日本市場に対しての感想を求めると、同氏は「医療、金融、流通業などの分野で一定の事例を作ることはできたが、これまでの販促活動は手ぬるかった。今後は日本市場独自のキャンペーンを積極的に打ち出していく」と語った。

 その日本独自キャンペーンの第1弾が、低価格パッケージ「SeeBeyond Starter Pack」だ。「導入コストを抑えることで積極的にユーザー層を広げたい」(ムーアCOO)。同キャンペーンの対象は、(1)EAI製品の「EAI Starter Pack(950万円)」と(2)BPM(ビジネス・プロセス管理)製品の「BPM Starter Pack(1450万円)」の2製品。ライセンスの期限を2年間に限ることで、価格を通常の約3分の1(保守費を除く)に抑えた。2年後には新たにライセンスの購入が必要だが、機能的な制限はない。同キャンペーンは2004年4月1日から10月31日まで。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ