店内のBGM、ラジオから流れる曲、テレビCMなどを聞いていて「曲名を知りたい」と思ったときに、携帯電話があればすぐに曲名を検索できるサービスが今夏にも登場する。携帯電話のキャリア、やコンテンツ・プロバイダなど複数の事業者がサービスを開始する予定。

 曲名を検索するには、携帯電話から特定の番号に電話をかけ、携帯電話の送話口を音源に向け、約20秒間曲を携帯電話に聞かせればよい。曲の途中からでも検索は可能だ。電話は自動的に切れ、数十秒待つと電子メールが携帯電話に届く。音声認識が成功していれば、受信したメールの本文に曲名が書いてある。通話と電子メールの機能さえ付いていればよいので、ほとんどすべての携帯電話でサービスが利用できる。

 同サービスの音声認識技術と検索技術は、英シャザーム・エンタテインメントが開発したものを利用している。国内では、シャザームと技術提携したベンチャー企業のシステム・ケイが日本語によるメール配信や顧客情報を管理する。携帯電話を通した音質からノイズを除去し、180万曲の楽曲データを格納したデータベースから数十ミリ秒で該当の1曲を検索できるという。システム・ケイはキャリアやコンテンツ・プロバイダにこれらの技術を提供する。「契約は順調に進んでおり、今年8月にも商用サービスが開始する」と鳴海鼓大代表取締役は語る。

 ただし、現在は邦楽の楽曲データがない。「キャリアなどからサービスが始まれば、邦楽のデータも徐々に充実させていきたい。毎週のヒット・チャート100位までを順次追加していく」(鳴海代表取締役)。

 ちなみに、シャザーム・エンタテインメントは2002年8月からこのサービスを英国内で開始している。この技術を使った実用サービスはすでに、ドイツ、フィンランド、オーストラリア、マレーシアなど計9カ国で実施されている。

(矢口 竜太郎=日経コンピュータ)