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 NECと三井住友フィナンシャルグループは4月1日、銀行の勘定系システムを手がける新会社「N&J金融ソリューションズ」の営業を開始する。新会社は3月18日に設立済み。新会社の出資比率は、NECが51%、三井住友フィナンシャルグループの日本総合研究所が44%、同グループの三井住友銀行が5%。新会社の社長にはNECの矢部眞一執行役員(写真左)が、副社長には日本総研の多賀康弘常務(写真右)が、それぞれ就任する。

 矢部社長は新会社の狙いについて、「ITのプロと業務のプロを一つの会社に集結させることで、先進的な銀行システムをいち早く提供できる体制を作る」と強調する。ITのプロは、NECから新会社に移る金融エンジニア約140人を指す。業務のプロは、日本総研から集まる約190人のシステム要員のこと。日本総研からの「業務を知る」(同)190人には、昨年4月に三井住友銀行から日本総研に出向してきたシステム担当者も含まれる。

 新会社の業務は主に二つ。一つは、地銀から勘定系システムの再構築を受注すること。NECが開発したオープン勘定系パッケージ「BankingWeb21」や三井住友銀行の勘定系システムを基に、地銀各行のニーズに応える形で勘定系システムを企画・開発する。例えば、各行の独自性を発揮しながらコスト削減を望む地銀中下位行には、八千代銀行で稼働実績のあるBankingWeb21を、メガバンクと同等の機能を要求する上位行には三井住友銀行の勘定系システムを、それぞれ中心に売り込んでいくと見られる。NECは特に、これまでほとんど実績がなかった地銀上位行向けの勘定系ビジネス拡大を目論む。

 もう一つの業務は、三井住友銀行の勘定系システムの開発である。NECと三井住友フィナンシャルグループの勘定系システム担当者が一堂に会することで、「システム開発の生産性や品質の向上を実現する」(矢部社長)。これにより、三井住友銀行は勘定系システムの維持コスト削減を図る。

 地銀中上位行の勘定系システム刷新を巡っては、日本IBMと日立製作所、富士通がオープン勘定系の開発に着手するほか、東京三菱銀行が地銀のシステム共同化を日本IBMと組んで手がけるといった動きがある。新会社がどれだけの実績を上げることができるかは今のところ未知数であるが、矢部社長は「ITベンダーと銀行がノウハウを持ち寄り、他社に負けない成果を出していきたい」と意気込む。

 新会社の売上目標は2004年度で60億円。初年度はNECと三井住友銀行からの収入がほとんどを占めると見られる。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)