中堅インテグレータのSRAは4月、データベース(DB)ソフト「PowerGres」の英語版を米国で出荷する。PowerGresはオープンソースのDBソフト「PostgreSQL」にSRAが独自開発の管理ツールを組み合わせ、サポートを付けたパッケージ製品。PostgreSQLのディストリビューションは世界でもまだ珍しい。「世界規模でリレーショナルDBソフトのシェアを10%とりたい」とSRAの鹿島亨社長は意気込む。

 米国での販売形式はSRAアメリカを通じた販売と、Webサイトからのダウンロード販売の2形態。まずは、Windowsで動作する「PowerGres on Windows」の出荷から始める。価格は430ドル。米国での販売目標は2004年4月~2005年3月までの間に1000本。さらに今年7月以降、Linux版の「PowerGres on Linux」や上位版の「PowerGres Plus」を米国で出荷する計画。同時に、欧州にも展開する予定だ。

 またSRAの鹿島社長は、子会社であった、Linuxディストリビュータのターボリナックスをインターネット関連事業を手がけるライブドアに売却したことについて触れた。「米国のザSCOグループが訴訟を始めたことにより、United Linux陣営が事実上の活動停止になったことが売却の大きな理由」と語る。「2002年8月にターボリナックスを買収した際には、サーバー向けLinuxの開発を期待していたが、先の理由からターボリナックスがデスクトップ向けLinuxに注力せざるを得なくなった。これでは当社とのシナジー効果を発揮できないと判断した」(鹿島社長)。

 鹿島社長は今回の売却を「前向きに捉えている」と公言する。「(ターボリナックスの買収以前のように)中立な立場からレッドハットなど他のLinuxディストリビュータと接することができるようになる。純粋に売却益だけを見ても、税金対策に困るほどだ」(同)。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ