「通信とコンピュータは切っても切れない関係。38年間コンピュータの業界に籍を置いてきたことは、通信業界で生きる」。日本テレコムの社長に就任した倉重英樹氏(写真)は3月8日、社長就任記者会見でこう話した。倉重社長は2004年2月までIBMビジネスコンサルティングサービス(IBM BCS)を率い、1993年6月まで日本IBMに所属していた。

 会見の中で倉重社長は、「売り上げを好転させる」、「突出した会社にしたい」、「生き生きした会社にしたい」などいくつかの方針を掲げた。そのなかでもIBM BCS出身らしさが垣間見れたのは、法人向けのコンサルティング力強化に触れた点だ。

 倉重社長は「法人顧客に対しては、サービス、ソリューションの品揃えが差異化のポイントになる。どのようなサービスを提供すれば顧客の利益になるかを考え、提案していかなければいけない」と主張。ただし、「組織的にも新しいサービスを考え出す機能を持たせようと思っているが、それを“コンサルティング事業部”と呼ぶかどうかは別」だという。

 倉重社長とともにIBM BCSから日本テレコムに移った富村隆一専務も「IBM BCSにいたから分かることだが、通信事業者というのはビジネス・コンサルティング会社の“上客”。そこから考えるだけでも、今後当社が新しい戦略や新サービスを打ち出す余地が多くあるということ」だと説明した。

 今回は社長の就任会見ということで、具体的な事業戦略には触れなかった。「早ければ5月にも、改めて場を設けて事業戦略を発表したい」(富村専務)という。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ