「Bluetooth対応のモバイル・プリンタを使えば、請求書、見積書、納品書といった帳票を出先で手軽に印刷できる。PDAやノート・パソコンと合わせて利用すれば、企業の営業担当者の業務効率を上げられる」。ブラザー工業パーソナル・アンド・ホーム カンパニー営業企画部の塚本浩三ソリューション営業推進プロジェクトリーダーはこう語る。

 ブラザー工業は3月16日、重さ300グラムのモバイル・プリンタ「MPrintシリーズ」の新版「MW-140BT」を出荷する。大きな特徴は、ノート・パソコンやPDA(携帯情報端末)からBluetoothでデータを受け取り、印刷できるようにしたこと。

 実際に塚本リーダーに、PDAからBluetooth経由でMW-140BTに印刷してもらった。写真のように、プリンタのほうにPDAを向けていなくても、A7サイズ(たて10.5cm、よこ7.4cm)の紙に伝票を印刷できた。「PDAとプリンタの距離が10メートル以内であれば、離れていても印刷できる。プリンタがかばんの中に入っていても印刷が可能だ」と、塚本リーダーは説明する。

 「従来製品では至近距離でデータを受け取る手段は赤外線通信だった。赤外線通信では、『赤外線ポートの位置が定まっているか』や『機器の間に障害物がないか』を気にする必要があった。新製品は、Bluetoothでデータを受け取れるので、赤外線通信のときのように、いろいろなことを気にすることなく簡単に印刷できる」(塚本リーダー)

 MW-140BTは専用のプリンタケースを使って、ズボンのベルト部分に据え付けられる。「両手でPDAを扱いながら、請求書や見積書をベルト部分のMW-140BTで印刷できる。外回りの営業担当者が利用すれば、出先で請求書や見積書、領収書をスムーズに印刷できる」と塚本リーダーはメリットを語る。

 MW-140BTの実売価格は、4万円前後になる見込み。「ハンディ・ターミナルは出先での大量印刷に向くが、1台20万円程度と比較的高価だ。ハンディ・ターミナルを使うほど大量の印刷はしないが、社外で請求書や見積書などを印刷したいと考えている顧客企業には手軽に導入していただけると思う」(塚本リーダー)。1回充電すると連続100枚以上の印刷が可能。A7サイズの感熱紙、ラベル、複写紙に印刷できる。格納できる用紙の枚数は、感熱紙が50枚、ラベルと複写紙が30枚となる。

西村 崇=日経コンピュータ