「システム開発プロジェクトを進めるうえで、業務の流れを図示した業務プロセスのモデリングが重要性を増している。業務モデリングを活用すれば開発作業の手戻りを防げるからだ。手戻りが度重なり、システムの完成が見えないような『終わりなきプロジェクト』をなくしていける」。こう語るのは、米IBMソフトウエア・グループでRational製品を担当するテリー・クワトラニUMLエバンジェリストだ。

 「企業のIT投資が抑制されている中、企業は少ない予算でスマートにシステム開発を進めていく必要に迫られている。どのように業務モデルを変えていくかという視点で開発/保守を進めていかなければ、効率は上がらない」とクワトラニ氏は続ける。

 日本IBMは業務モデリング用ソフト「IBM WebSphere Business Integration Modeler(WBI)」を提供している。この製品は、業務プロセスをモデル化して、フロー・チャートのような図を作成するためのツール。作成した図にしたがって業務の流れをシミュレーションする機能も備える。「WBIを利用すると、プロセスを変更したときと、現在の業務プロセスの比較ができる。業務の流れを変えたときにシステムをどう変更すればよいかを把握するのに役立つ」(クワトラニ氏)。最新版は、昨年9月に出荷されている。

 「システム開発における『終わりなきプロジェクト』はなくさなければならない。一方で私が担当する、業務モデリングなどの普及プロジェクトは終わらない。普及させるにはまだ続けなくてはいけないし、なにより子供の学費を稼ぐのに私自身ががんばらなくちゃ」と、母親の一面を見せながら、クワトラニ氏は明るく話す。

西村 崇=日経コンピュータ