情報処理推進機構(IPA)は、新規事業「IT利活用促進ソフトウェア開発事業」の公募を2月16日に開始した。「e-Japan重点計画-2003」で「社会的に大きな効果が期待できる」とされている7分野を主に対象にしたソフトウエアの開発を支援する。従来からある「未踏ソフトウェア創造事業」など六つの開発支援事業の公募も同時に開始した。

 同事業の対象となるのは、1.医療、2.食、3.生活、4.中小企業金融、5.知、6.就労・労働、7.行政サービスの7分野。こうした分野に向けたソフトウエアを開発する企業向けに、開発費用支援(期間は7カ月程度)と開発終了後の事業化費用支援(開発終了後1年)を行う。中堅・中小企業(資本金3億円以下または従業員300人以下)には費用の90%、大企業には80%を上限に支援する。ただし、大企業に対しては開発費用のみを支援し、事業化費用の支援は行わない。

 支援を受けた企業は、契約完了の1年後から5年間の均等払いで、受けた支援費用の70%を返却しなければならない。また、売り上げの3%をロイヤリティとしてIPAに支払う必要もある。ただし、ロイヤリティは支援費用の130%が上限で、それ以上支払う必要はない。

 e-Japan促進を目的としたソフト開発支援事業としては、従来から「マッチングファンド型ソフトウェア開発・普及事業」がある。この事業では、開発費用を企業とIPAが50%ずつ出し合い、共同で事業化を進める。このため、企業側にある程度の資金があることが前提となる。今回の新規事業は、手持ち資金が少ない企業でも独創的なアイディアを持っていればソフトウエア開発を立ち上げられるメリットがある。

 支援の総額は、「IT利活用促進ソフトウェア開発事業」が約20億円、「マッチングファンド型ソフトウェア開発・普及事業」が約10億円の見込み。他の事業は、経済産業省の委託事業である「中小ITベンチャー支援事業」が2億5000万円、「未踏ソフトウェア創造事業」が9億円、「オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業」が9億円、「次世代ソフトウェア開発事業」が4億円、「情報セキュリティ対策事業」が2億円。

(大森 敏行=日経コンピュータ)