マイクロソフト日本法人は2月9日、LinuxとWindowsのTCO(総所有コスト)を比較するキャンペーンを開始した。「Get the Fact」の名称で、自社のWebサイトのほか、新聞、雑誌、バナー広告などで大々的に展開する。第三者機関によるTCOの調査結果や、LinuxからWindowsに変更したユーザーの事例などを提示する。「WindowsはLinuxよりコスト高」というイメージを和らげるのが狙い。キャンペーンは6月30日まで続ける。

 マイクロソフト日本法人市場戦略グループの北川裕康グループシニアマネージャは、「『Linux=安い』というイメージが先行しているが、アプリケーションの開発やシステムの運用までを含めたTCOで比較するとWindowsよりも高くなる。今回のキャンペーンを通じて、情報システム部門やCIO(最高情報責任者)に“事実”を知ってもらいたい」と語る。

 キャンペーン開始の背景には、マイクロソフトの危機感があるのは間違いない。日本でもOSDLジャパンがユーザー企業から意見を聞いてLinuxの開発に反映させる活動を始めるなど、基幹系システムへのLinux適用に向けた動きが活発になりつつある。北川グループシニアマネージャは「メインフレームやUNIXで構築してきたシステムを作り直すなら、WindowsかLinuxということになる。Windowsの適用範囲が広がる機会を前に、シェアを下げることは絶対に許されない」と意気込む。

 マイクロソフトは「Get the Fact」キャンペーンに続いて、Windowsの「セキュリティへの取り組み」と「安定性・信頼性」を訴える二つのキャンペーンを開始する予定。6月までに始める。これら三つのキャンペーンを合わせて、「Windows Server 2003とほぼ同じ額の広告宣伝費を使う」(北川グループシニアマネージャ)という。

松浦 龍夫=日経コンピュータ