「米国ではICタグの導入目的として、物流の効率化がよく挙げられる。だが、日本企業は物流を効率化できるというだけではICタグを導入しない」。NTTデータの吉川明夫氏は1月30日、同社主催のマスコミ向けセミナーでこう語った。吉川氏は、同社でICタグ事業を推進するビジネス開発事業本部 CRM/コンタクトセンタビジネスユニットの責任者である。

 吉川氏は発言の根拠として、日米の物流事情の違いを指摘する。「米国の企業は商品の誤配送によって、結構大きな損失を出している。このため、ICタグによって確実に商品が届くようにしたいと考えている。これに対し、日本の企業では誤配送による損失はほとんどない」。

 日本でICタグを普及させるには、「どう使えば消費者にとって役立つのかという視点で、アプリケーションを考える必要がある」(吉川氏)。その一例として、吉川氏は商品に関する豆知識を提供するアプリケーションを挙げる。「フジテレビの情報番組『トリビアの泉』は人気が高い。ちょっとした情報を知ることで見方が広がり、同じモノをそれまでより面白くとらえられるからだろう」(同)。

 NTTデータは今回のセミナーで、関東圏でスーパーを展開するマルエツのICタグ実験の成果を説明した。NTTデータは昨年9月24日~11月23日の実験期間中、システム・インテグレータとして参加した(関連記事)。

栗原 雅=日経コンピュータ