都市銀行や地方銀行などがお互いのATM(現金自動預け払い機)を相互接続するための中継システム「統合ATM」で1月26日、中継処理が一部滞るトラブルが発生した。影響を受けた取り引きは、ある金融機関のATMで別の金融機関のキャッシュカードを使い、預金の引き出しや残高照会といった「提携サービス」を利用した場合。統合ATMの開発を手掛けたNTTデータは1月26日午後6時30分現在、「原因は調査中でまだ分からない」としている。

 NTTデータの発表によれば、1月26日午前11時50分ごろ、金融機関をまたがるトランザクション処理が何度かに1回の割合で失敗する事象が発生。ほぼ全国的に金融機関をまたがる提携サービスが成立しにくくなった。ただ統合ATMは一度もダウンせずに稼働を続け、午後3時40分ごろにはほぼ正常な状態に戻ったという。

 統合ATMを利用する金融機関の関係者は、「統合ATMに負荷が集中したのが原因ではないか」と推測する。1月26日は25日の給料日直後の平日ということもあり、「ATMによる提携サービスの利用件数がかなり増えた」と見る。2004年1月4日に稼働を開始した統合ATMにとって、給料日直後の稼働は1月26日が初体験だった。

 統合ATMは2003年まで複数に分かれていたATM/CDの中継システムを統合したもの。具体的には、「都銀キャッシュサービス(BANCS)」、「地銀CD全国ネットサービス(ACS)」、「第二地銀協キャッシュサービス(SCS)」、「信託銀行オンラインキャッシュサービス(SOCS)」、「長信銀・商中キャッシュサービス(LONGS)」、そしてこれらの中継システムを接続する「全国キャッシュサービス(MICS)」を集約した。
      
 トラブルが発生した統合ATMは、あくまで金融機関をまたがる提携サービスを中継するものであり、「A銀行のATMでA銀行のキャッシュカードを使い預金を引き出す」といった金融機関内の処理に影響はない。また、日本郵政公社やコンビニエンス・ストアのATMなど、統合ATMとは別ルートでシステム接続している金融機関のサービスもトラブルの範囲外である。

大和田 尚孝=日経コンピュータ