「NO!」。米マイクロソフトのクリス・フィリップスWindowsサーバー部門ジェネラルマネージャー(写真)は、最近、ストレージ業界でもてはやされている情報ライフサイクル・マネジメント(ILM)がユーザー企業に浸透するか、という質問に即答した。ILMは、データの作成、保存、アーカイブ、削除といった全体の流れを見て、保存してからの時間やユーザーの利用頻度に応じて、保存先のストレージ機器を動的に変えていく管理方法だ。

 ただし、フィリップス氏は「ILMへの取り組みを批判するわけではない」と付け加える。「ILMの考え方自体は素晴らしいと思ってるし、マイクロソフト社内でも以前から取り入れている概念」だからだ。

 フィリップス氏が問題に思っているのはILMに対する過剰な期待である。「ILMのコンセプトは1960年代からあり、ことさら新しいものではない。今盛り上がっているのも、何年かごとにやってくるブームみたいなものだ」と指摘する。

 実用面でも、「ストレージに関する新製品や新技術が出てきたことで、ILMを実現しやすくなってのは事実。マイクロソフトも各社が提供しているそれらの新しい“手段”への対応はしていく。だが、ユーザーの根本的な悩みを解決するにはILMだけでは足りない」(フィリップス氏)と手厳しい。

 フィリップス氏は、「ベンダーは本来の目的である、人類がいかにすればデータを有効に活用できるかを考えるべきで、我々もその実現に情熱を傾けている。“10Tバイトのデータのなかから、そのユーザーに必要なデータを見つける”、“10Tバイトのデータを瞬時に移動させる”、こういったことができるようになることのほうが、ユーザーには役に立つと考えているからだ」と語る。

鈴木 孝知=日経コンピュータ