汎用JPドメインの登録や管理業務を担当する日本レジストリサービス(JPRS)は、同社が管理・運営している日本語JPドメインの利用を活発化することを狙った新サービスの検討を始めた。サービスは「日本語JPナビ(仮称)」で、日本語ドメインに対応していないブラウザを使って日本語ドメインのWebページに接続した際に、ブラウザの最新版や専用プラグインの導入案内を表示する。従来のように「ページが見つかりません」と表示されることはなくなる。

 日本語ドメインは、国際化ドメインの一つ。「日経BP社.jp」のように日本語を含んだドメイン名で、Webやメールを利用できる。ただ、日本語ドメインでWebなどのサービスを提供するには、専用のDNS(ドメイン・ネーム・システム)を構築する必要がある。利用する側には、NetscapeやOperaなどの日本語ドメインに対応したブラウザを使うか、Internet Explorerに日本語ドメインを利用するためのプラグイン・ソフトを組み込まなければならない。手間がかかることもあって、日本語ドメインの利用者はごく少ない。

 そこでJPRSは、日本語ドメインを利用しようとしたユーザーに、プラグイン・ソフトなどの案内ページを自動表示するサービスを提供すれば、日本語ドメインの利用促進につながると考え、日本語JPナビを考案した。この機能を日本語ドメインを運営する企業などが使いたい場合は、あらかじめ日本語JPナビの利用をJPRSに申し込む必要がある。JPRSはJPドメインのDNSに設定を追加し、その企業の日本語ドメインでWebサイトを閲覧できなかったユーザーに対して、日本語JPナビのWebページを返信する。

 この仕組みは、JPRSがJPドメインのDNSサーバーを管理しているからこそ実現できるサービスである。2003年には、米ベリサインが「.com」と「.net」のDNSサーバーを管理する立場を利用したドメイン検索サービス「Site Finder」を提供し、批判を浴びた。Site Finderは、存在しないドメイン名を使ってWebサイトにアクセスしようとしたすべてのユーザーに対して、ドメイン検索ページを返す。comドメインやnetドメインを利用する多くのユーザーに影響が及ぶ点や、スパム・メール対策ソフトなどの動作に不具合が生じた点などが問題視された。現在はサービスを中止している。

 これに対し、JPRSは「Site Finderとはまったく位置付けが異なるサービスであり、特に問題はない」(JPRS)としている。希望する日本語ドメイン名についてだけ提供するサービスであること、ほかのサービスやツールに悪影響を及ぼさないことは検証済みであることを、理由として挙げている。

 JPRSは、1月19日にWebサイトで日本語JPナビの仕様を公開し、2月6日までメールで意見や要望を受け付ける。2月中旬に意見や要望への回答を公開したうえで、サービス提供の是非を判断する予定である。このように慎重に進めるのは、「ドメインは公共性が高いため」(JPRS)だ。

福田 崇男=日経コンピュータ