「国内には、業務分析を担当する技術者がモデリングの良し悪しについて議論する場が国内には少ない」。こう指摘するのは、データ分析/設計用ツール「ERwin」のユーザー会「Japan Enterprise Modeling User Group(JEMUG)」の会長を務める、コンサルティング会社メタジトリーの松本聰取締役。「『本当に自分の業務モデリングが正しいのか』という技術者の悩みを解決するためには、技術者が議論できる場が必要」と力説する。

 JEMUGは1997年、「日本ERwinユーザー会」として発足。2002年4月に、ERwinの製品ベンダーが、コンピュータ・アソシエイツに買収されたことを受けて、JEMUGと改称した。今年12月4日から5日、神奈川県小田原市内で分析/設計技術をテーマにしたコンファレンス「1st Japan Enterprise Modeling Conference」を開催した。

 「改称後は予算の関係で、大規模なコンファレンスを開けなかった」と松本会長は悔やむ。「だが、分析/設計技術について深く議論したいという会員からの要請を受けて開催することにした」。

 コンファレンスには90人ほどが参加。大半はJEMUGの会員以外のモデリング技術者で、モデリングに対するIT業界全体の関心の高まりを感じさせた。

 コンファレンスでは講演と参加者がフリーディスカッションをする機会を設けた。「モデリングのあり方について、深夜2時まで議論する参加者もいた」と松本取締役は、コンファレンスの様子を振り返る。

 コンファレンスでは、シナジー研究所の依田智夫代表取締役、データ総研の椿正明会長、日本総合研究所事業化技術センターの鈴村幸太郎研究員といった、「日本のトップクラスのアーキテクト」(松本会長)が講演した。

西村 崇=日経コンピュータ