経済産業省が策定したITスキル標準の(ITSS)の推進団体であるITSSユーザー協会が12月15日、正式に発足した。ITSSユーザー協会は、(1)IT技術者のスキルやキャリア・パスの具体化と体系化、(2)ITSSに基づいた企業や個人のアセスメント(評価)制度の確立などに向けた活動を主に手掛ける。

 ITSSは、経産省が2002年12月に発表したIT技術者のためのスキル管理体系。IT技術者のスキルを11の職種、38の専門分野別に定義し、さらに7段階のレベルに整理している。人材育成の指針として注目を集めているものの、内容が複雑で抽象的なため、実利用がまだそれほど進んでいない。

 ITSSユーザー協会は、ITSSが要求するスキルを分かりやすく具体化することで、企業への導入を促進する考え。まずは、「SSI-ITSS(スタンダード・スキルス・インベントリ・フォー・ITSS)」と呼ぶスキル評価・管理ツールを提供する。現在提供しているのは会員向けのパイロット版だが、2004年4月には非会員でも無償で利用できるようにする。

 SSI-ITSSは、ITSSの導入に以前から取り組んできた日本オラクルが作成したもの。日本オラクルや、その他の会員企業からの意見を取り入れて継続的に改善している。同協会の高橋秀典専務理事(日本オラクル バイスプレジデントITSSユーザ協会準備室室長)は、「職種が異なれば必要なスキルも変わる。来年4月には、ツールだけでなく、職種ごとに必要な評価項目をまとめたテンプレートを含めて提供したい」という。

 もう一つの活動の柱である企業や個人のアセスメント制度の確立については、「評価手法の策定や、アセッサー(評価者)を育成する仕組みなどを2004年中に整備したい。まずは企業の評価制度の策定が先になるだろう」(高橋理事)という。

 ITSSユーザー協会にはNEC、コンピュータ・アソシエイツ、シスコシステムズ、日本オラクル、富士通、マイクロソフト、松下電器産業など42の企業・団体と9人の学識経験者が参画している。

(鈴木 孝知=日経コンピュータ)