展示会場にはミカン大のコンピュータ、NTTドコモのFOMAの試作機、オラクルの組み込み機器向けデータベース・ソフトなど、多くの“初物”が登場した。


写真1●会場はさほど広くないが、来場者の熱気でいっぱい。展示会を主催するトロンプロジェクトをはじめ、T-Engineフォーラム、ユビキタスIDセンターといった組織を率いる坂村氏の活動に対する関心の高さをうかがわせた


写真2●ミカンの間に置かれたカラフルな立方体は、パーソナルメディアが試作した超小型パソコン「T-Cube」。大きさは幅52×奥行き52×高さ45mm。BTRON仕様のOS「超漢字」を搭載し、Webブラウザなどを利用できる。CPUはMIPS系のVR5701。ストレージはコンパクト・フラッシュで、端子はEthernet(100BASE-TX)、RS-232C、音声入出力ポート、eTRON(セキュリティ用小型ICカード)スロット。現在のサンプル価格は20万円ほどだが、同社は量産すれば10万円程度に下がると見ている

 
写真3●NTTドコモが試作したFOMA端末の試作機。きょう体は通常の携帯電話よりふた回りほど大きく使いずらい。もっとも、これはそのまま販売するものではなく、端末メーカーに開発環境として提供することを想定したものだ。T-Engine仕様準拠の開発ボードとFOMA仕様の通信カードを内蔵した。NTTドコモはT-Engineフォーラムで「T-Wireless」ワーキンググループを主導する。携帯電話機のソフト開発環境を標準化して開発期間を短縮し、コストを下げるのが狙いだ


写真4●ヤマハの「iSession」。インターネットを使ったピアノ・レッスンを想定したデモ・システムで、2台の自動演奏ピアノにそれぞれT-Engineボードを接続した。MIDI信号の送受信で、遠隔地のピアノの鍵盤の動きを再現する


写真5●無線LAN(IEEE802.11b)とピアツーピア通信を組み合わせた案内板システム。日本システムウエアが試作した。イベント会場での待ち時間表示などに使うことを想定している。複数の端末が自律的にネットワークを構成するマルチホップ通信なので、設置や撤去が容易だ。端末間の距離は100メートル以内ならよい


写真6●デンソーが開発したカー・ナビゲーションの試作機。ITRONとWindows for Automotiveが一つのCPU上で動作する。TRONとWindowsという組み合わせ自体はレポート1と同様だが、仕様は異なる。2005年春発売の機種に搭載する見込み


写真7●新顔のソフトウエア3点。左は日本オラクルが試作した「Oracle9i Lite for T-Kernel」。実際の製品化はOracle10gで行う予定。中はT-Kernel上で動くMacromedia Flash Player。開発した東芝情報システムは「ほぼ完成段階」という。右はgコンテンツ流通推進協議会の「goSVG(G-XML over SVG)」ブラウザ。KDDI研究所、昭文社などが、モバイル端末でGIS(地理情報システム)を構築するための仕様を策定している

(本間 純=日経コンピュータ)

次の記事(レポート4)へ