T-Engineフォーラムは2004年1月、ITRONに準拠したOSカーネル「T-Kernel」のソースコードを公開する。T-Kernelは、同団体が策定/推進しているITRONの共通プラットフォーム「T-Engine」のOS部分に当たる。T-Kernelのソースコードは従来は同団体の会員のみに公開されていたが、1月からは同団体のWebサイトからダウンロードできるようになる。

 T-Kernelは「T-License」というライセンスに基づいて公開される。ユーザーは自由にT-Kernelのソースコードを改変したり、改変したT-Kernelを搭載した製品を販売できる。

 ただし、改変したT-Kernelのソースコードを再配布することはできない。つまり、今回のソースコード公開は「(米オープンソース・イニシアチブが定めている)いわゆるオープンソースではない」(T-Engineフォーラム会長の東京大学坂村健教授)。なぜなら複数のソースコードの存在を許してしまうと、T-Kernel上で動作するミドルウエアの動作を保証できなくなってしまうからだ。各メーカーがバラバラに開発している現在のITRON準拠OSでは、それらの間の互換性のなさが大きな問題になっている。T-Kernelでは、その反省を踏まえてシングル・ソースを保つ仕組みを用意した。

(大森 敏行=日経コンピュータ)